プロジェクトストーリー

堂島大橋

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05 堂島大橋改良事業
堂島大橋

歩行者や水運の安全なルートを随時確保しながら、
歴史的建造物の改良工事を実施し、長寿命化を図りました。

OVERVIEW

堂島大橋は、イタリアンロマネスク様式のラーメン橋台を有する下路アーチ橋です。完成後90年の経過により老朽化が進むとともに、地盤沈下の影響で桁下空間が低くなり舟運の支障となっています。本改良工事は長寿命化と航路空間の確保を目的とし、歴史的・文化的価値を継承するため、比較的健全な下部工橋台と上部工アーチ部材は残し、床版・床組を全面的に取替えています。

KEY POINT
周辺景色に調和する堂島大橋

「水の都」と称される大阪のランドマークとして知られる堂島大橋は昭和2年(1927年)完成。イタリアンロマネスク様式のラーメン橋台付きの大型下路アーチという、他に例のない歴史的建造物です。上部アーチの曲線とラーメン橋台のアーチが織りなす曲線美に、石材と鋳鉄製格子パネルからなる高欄、風合いある街路灯と橋飾塔が河川周辺環境と調和し、構造美を生み出しています。

KEY POINT
通路・航路の安全を確保

交通・水運の要所であるだけに、歩行者等の通行量も多く、橋下は観光クルーズ船等の航路としても活用されている堂島大橋。歩行者・自転車・車いすの通路確保と、舟運航路の確保を維持しながらの工事が進められました。工事の進捗に合わせ、歩行路や航路の位置や方向を切り替えながら、安全性への確保に取り組んでいます。

プロジェクトのキーマン
現場代理人K

このプロジェクトに
かけた想い

安全に心を砕いた2年間
昭和2年の完成から90年以上が経過した歴史的建造物である堂島大橋の長寿命化工事に参加させて頂きました。プロジェクトに関わった日々の中で、ただひたすら心の中で祈っておりましたのは「現場の皆の無事故」「毎日無事に家に帰れる事」、そして「第三者の方の災害が無い事」そればかりでした。思えば安全のことだけをずっと考えていた2年間、されど2年間の施工でした。

当時の苦労

利用者への影響を最小限に
工事中、車両は通行止めでしたが、歩行者・自転車用通路は本橋橋面上に確保しており、施工箇所の変化による利用者の影響を最小限にするため、アーチ部材を残しながら床・床組の取り替えを上下流分割で施工を進めていました。そのため、断面の形状・キャンバー確保に非常に苦心いたしました。また取替施工の工事現場のB型フェンスのすぐ横にも老若男女問わず歩行者が通行する通路を確保しており、振動・音・埃・異臭等も含めた安全確保にも尽力しました。

完成を迎えて

地元の方の笑顔と一言に感動
バス停より対岸の病院へ徒歩で向かうおじいちゃん・おばあちゃんが、たまたま終盤のアーチのライトアップ点灯試験を見たのでしょうか「この橋きれいになったね、良かったね、ほんまご苦労さんやね」と言われました。地元の方も喜んでくださってることを実感ができ、その笑顔がとても印象的で忘れられない思い出です。そしてそれを実現してくれた架設の鳶さん、床版切断撤去の解体屋さん、建築・土木屋さん、塗装屋さんなどすべての作業員さん、そして、計画から完成まで大規模改修の本工事に携わって頂いた全ての方に感謝申し上げます。

プロジェクトのキーマン
監理技術者K

このプロジェクトに
かけた想い

歴史的価値を次の世代に継承したい
近代的なタワーマンションがそびえ立つ足下。都会では珍しいリベット締めした古びたアーチが印象的な堂島大橋。「古い物は壊して新しく建て替える」そんな概念を持っていましたが、大阪の地でその姿を目の当たりして、さらに「天下の台所大坂」の歴史、堂島大橋の歴史を調べるにつれ『歴史的・文化的価値を次の世代に継承する』ことがこれからの建設業には大切であると気づき、認識を新たに本プロジェクトに臨みました。

当時の苦労

工程と工期の入念な確認と確保
歩行者通路を確保し、船舶の航路も確保する。この条件の下、約2年の期間で工事を施工するため、各種工程(既設床版・橋面付属物の撤去、既設鋼桁撤去しながらの新設桁架設、既設梁等塗り替え塗装、橋面工)の調整に加えてアーチ支点部ジャッキアップ、支承部アンカー取替、吊り材取替などの工種を折り込み工程確保に努めました。品質面では特に架設工事において、上り線既設鋼桁を撤去した後、新設桁を下り線既設桁とアーチ吊り材とジョイントする架設作業を繰り返し(下り線も同様に)、ベント無しでキャンバーを規定値内に入れることに技術を要しました。

完成を迎えて

次の100年へ生き続ける建築物
生まれ変わった堂島大橋は昔のたたずまいを残しつつ、都会の風景に溶け込み、夜はLEDでライトアップされ憩いの場となっています。工事の完了後に現地を訪れ、昭和4年建設で、堂島大橋北詰めのランドマークだったメリヤス会館、お世話になったENEOSスタンドが都市開発のため撤去されているのを見ると考えさせられるものがあります。私事ですが昭和2年生まれの我が父も工事途中でこの世を去り、人には寿命という定めがあるものの、橋はリニューアルにより生き続けることを再認識し、堂島大橋も次の世代の方にさらなる100年を引き継いでもらえたらと思います。

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