直立浮上式防波堤
直立浮上式防波堤とは、津波や高波が発生した時に速やかに海底から浮上し、人や港を災害から守るための新しい防波堤です。
防波堤のしくみは、平常時は海底に設置された下部鋼管の中に、それより直径の小さい上部鋼管が格納されており、津波や高波の来襲時に上部鋼管が数分程度で浮上し、防波堤となります。
上部鋼管の浮上・沈降のしくみは、下部鋼管に取り付けた管から上部鋼管に空気を送り込むことにより浮力が生じ、上部鋼管の重さより浮力が大きくなると上部鋼管が徐々に浮上し、反対に空気を排気することにより浮力が減少し沈降します。
平常時は海底中に格納されていることから、航行船舶や海水の流れを阻害することありません。
直立浮上式防波提は、国土交通省中部地方整備局、独立行政法人港湾空港技術研究所、当社を含めた民間グループで共同技術開発を行い、大規模水理模型実験や実海域実証実験等での技術検証を重ね、世界初の事業として和歌山県下津港海南地区で、2011年度より試験工事、2012年度より本工事を着手し2014年度に完成しました。
今後、新しい防災技術として活用が期待されています。
各部名称

津波・高波発生時の流れ
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ステップ1
平常時 - 上部鋼管を海底に格納

- 上部鋼管の状態
- 自重>浮力

高波・津波警報 発令
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ステップ2
浮上 - 空気を送風し
上部鋼管を浮上

- 上部鋼管の状態
- 自重<浮力
送気開始

高波・津波来襲
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ステップ3
降下 - 空気を排気し
上部鋼管を降下

- 上部鋼管の状態
- 自重<浮力
排気開始

高波・津波警報 解除
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ステップ4
降下完了 - 空気を排気し上部鋼管を降下
- 船舶の航行が可能

- 上部鋼管の状態
- 自重>浮力
降下完了
