浮消波堤
浮消波提は、消波機能を有する浮体により、入射する波のエネルギーを軽減(反射、攪乱、吸収)させて、漁場や港湾内の静穏化を促進、創出するための構造物です。
浮消波堤とは
特徴
- 海水交換性に優れ、環境に優しい
- 現場の工事占有期間が短い
- 沖合の水深が深い場所にも設置可能
- 移動や撤去が可能で、耐用年数(20~30年)に応じて浮体本体のリプレイスやチェーン交換が可能
適応施工例
- 生け簀など養殖施設における作業性・作業稼働率向上
- 生け簀など養殖施設の保護(高波防御)
- 船舶航行のための安全確保
- 航走波を抑え、競艇場のレース実施率向上
消波性能/構成
- 構造形式によって消波性能が期待できる周期帯が異なります(図1)。
- 浮体、係留チェーン、アンカーで構成されます(図2)。



参考文献 ※1 浮体式防波堤および浮体式消波提の設計・施工マニュアル(案) ※2 浮消波提(パンフレット)日本浮消波提協会
浮消波堤の形式(適用周期)
箱型(ポンツーン)【3〜4.5秒程度】
- 側面の反射波、動揺による位相差や摩擦により消波
- RC/PCハイブリット式の適用事例あり
- 瀬戸内海など比較的短周期の海域に適する


動揺制御型【4.5〜5.5秒程度】
- 鋼製浮体
- 浮力タンク部(箱型断面)と制御タンク部で構成される
- 浮体による水の動きを利用し、浮体動揺を制御することで波のエネルギーを相殺し消波する


内部水流振動型【内海:5.5〜6.0秒】【外海:〜9.0秒】
- 入射波と浮体の位相差により入社波を反射させる
- 最も適用周期帯が広い
- 内部の水流経路により、振動流の固有周期を調節し反射特性を向上させることができる


施工実績
箱型(ポンツーン)
- 設置場所
- 国際拠点港湾 広島港(広島県広島市観音地区)
- 設置年度
- 1994年
- 浮体寸法
- L70.75m×B21.0m×H3.503m
- 構造
- RCハイブリット


動揺制御型
- 設置場所
- 東京都江戸川区中川
- 設置年度
- 2022年
- 浮体寸法
- L20.0m×B3.0m×H1.4m
- 透過率
- 0.10

内部水流振動型
- 設置場所
- 第2種漁港 阿翁浦漁港(長崎県松浦市鷹島町)
- 設置年度
- 2009年
- 浮体寸法
- L68.0m×B12.0m×H8.8m
- 透過率
- 0.40

