加藤 竜士
かとう りゅうじ
安全品証室 市原品証グループ
私は、現在、工場の品質保証部門に所属しています。品質保証部門は、文字通り、お客様に納める橋梁製品の品質を保証する部門です。業務範囲は広く、最終段階での製品検査だけに留まりません。橋梁という製品をつくるためには、まず、図面が必要となりますが、公共工事ということで、図面にも、お客様立会いのもとで、チェックが入ります。その後は、工場での製作ステージに沿って、「橋梁を構成する部材の検査」、「部材を組み立てた後の全体形状の検査」、「さびを防ぐための塗装検査」を経て、最後に出荷時の「製品検査」を行います。このように、品質保証部門が担う検査は多岐にわたりますが、「企業の番人」という自覚を持って、世の中に良い製品を送り出したいと考えています。時には、社内で対立することもありますが、信念を持って仕事に取り組んでいます。
私は愛媛県出身で、小さい頃から、本州と四国を結ぶ多くの長大橋を見て育ってきました。その分、橋に対しては、特別な思いがあります。特に、平成7年に発生した阪神淡路大震災では、多くの橋梁が被害を受けましたが、そのことに自分も大きな衝撃を受けました。「被災地の惨状」と「復興に取り組む人々の力強さ」を目に当たりにして、自分も将来、橋の建設に携わろうと強く思うようになりました。大学は、迷わず土木工学科を志望しました。
長い間、その場所のシンボルとして、時代とともに共存する構造物であることに魅力を感じます。多くの人の役に立つものを、自分がつくっていることにも誇りを感じます。もし、その橋がなかったら、その1本の橋がなかったら、その地域の人々の生活はどうなるのだろうかと、ふと思うことがあります。多くの社会基盤を構成する構造物において、力強く、美しく、そして長い間、人々の生活を支える、そんな橋が大好きです。
お客様の立会いのもとで、検査を受け、専門的で答えに窮するような質問を受けた時、それを自分の言葉で丁寧に説明して、ご理解頂けた時の喜びは、何とも言えません。品質管理では、「非破壊検査」といって、お医者さんの聴診器のようなもので、製品を壊さず、溶接内部を検査します。測定原理は、素人には分かりにくいもので、それを自分なりにかみ砕き、理解できる言葉に置き換えます。根本の原理・原則を、自分なりに消化していないとできない作業で、ここで、自分の専門性が問われます。今後、さらに経験を積んで、品質証明員(社内の代表として品質を保証する技術者)などの重要な役割が担えるような技術者を目指したいと考えています。私は、もともと、建設現場の配属で、架設工事の計画や現場での建設業務も経験しています。これらの経験があるからこそ、工場製作から現場架設までの、一貫した品質管理の重要性や難しさも、よく分かっているつもりです。
多くのことを経験豊富な諸先輩方から学ぶことができることです。時代を超えた「名だたる橋梁」を建設した実績があり、実際に、それに携わった人がいる。そんな人たちと一緒に仕事ができることです。就職のときも、いろいろな会社を調べましたが、受けたのは、MMBの1社だけです。これだけの橋梁を建設してきた会社で、また、その技術者の方々と働けると思っただけで、ワクワクしました。
実際の仕事は、好きなことだけやっていればいいという訳にはいきません。時には、自分の思いと違う方向に進まなければならないこともあります。しかし、どんなことも、続けているうちに新しい発見があり、気がつくと、スキルアップしている自分がいます。あと、意外とあれこれ考えるよりも、直感が大切ですね。私は、ピンと来たら、その時の気持ちに正直に進むタイプです。