上野 慶太
うえの けいた
技術部 設計グループ 設計1チーム
私は、今、ある高速道路会社のジャンクション工事の設計担当をしています。ジャンクション(Junction)は、よく、高速道路の出入り口であるインターチェンジ(I.C)と間違えられますが、高速道路と高速道路の交差点のようなところで、橋が曲がりくねっているところです。設計では、橋の全体的な形を「線形」といいますが、複雑な線形であるがゆえの難しさがあります。このような複雑な線形は、コンクリートでは難しい面があるので、メタルといって、鋼(はがね)の橋が多用されます。工事が始まる前は、まっさらだった土地に、橋を支える柱(橋脚)が立ち、その上に、橋がかけられ、やがてはジャンクションになり、皆さんが利用する高速道路が完成します。社会インフラ整備を担っているという感触があり、とてもやりがいがあります。
父の仕事と関係があるかもしれません。父は地元の土木屋で、小さい頃から、様々な工事現場に連れて行ってもらいました。大学でも、橋梁の研究室で橋の研究していました。そう意味では、小さい頃に漠然と描いていた、そして好きだった橋の仕事に携わっていることに、不思議さと喜びを感じています。
当時の設計課長が、大学の研究室で橋の話をされる中で、この会社なら、大きな仕事ができそうだと思いました。そして、リーディングカンパニーとしての風格も感じられたので、入社しようと思いました。
工場製作の現場を経験したことは、今、自分の財産になっています。モノづくりの現場を肌で感じ、つくる人の思いも、少しは分かるようになりました。設計している人というのは、案外、モノづくりのプロセスを知らないものです。モノをつくるためは、図面で、こと細かく説明してあげた方が良い場合がありますが、現場に行く前は、そのような意識はありませんでした。今は、図面にできるだけの情報を入れて、少しでもつくりやすい図面を出したいと考えています。
やはり、圧倒的なスケール感かもしれません。明石海峡大橋も、ものすごく大きくて、一体、どうやったら、こんなに大きなものがつくれるのだろうかと、ふと思う時もあります。この会社の魅力は、なんといっても、企業風土です。学校にも校風があるように、社風というものは、絶対にあると思います。橋づくりの特性かもしれませんが、「みんなんで協力して、一つの工事を完成させるんだ」という強い思いが、この会社で働く人たちに宿っているような気がします。
勉強と言いいたいところですが、現場をたくさん見る経験を、学生時代にしておいた方がいい。橋に限らず、興味を持ったものは何でもいい。「百聞は一見に如かず」で、肌で現場を感じておくことが、後々、活きてくると思います。あと、小さい頃からやっていた野球を、社会人になった今でも続けていますが、ストレスの解消になったり、交友関係が広がったりするので、学生時代にやっていたものがあれば、続けた方が良いと思います。